干渉

A:「さてと、ここで、赤カードをひいた方が勝ちというルールを導入するのさ。」
F:「Aは何とかして、確実に赤カードをひく方法を知りたがるね。」
A:「それは僕のことじゃないけど。」
F:「苦労の末、遂にAが、カードを知るための隠れた変数を手に入れたとしたら?
  つまり、AがBよもカードを先にひきさえすれば、Aは確実に赤カードをひけることになる。」
A:「そこで神様の出番となりまする。
  神様はAがカードの秘密を知ったことで、いじわるをする。」
F:「どんないじわる?」
A:「マジシャンには、Bがほんの一瞬だけ先にカードをひくように仕向けるんだ。」
F:「Aが勝つ確率は、相変わらず1/2のまま。」
A:「あるとき、マジシャンはロボットを作製したとする。ロボットはAとBの目の前で、マジシャンがやったのと同じことを再現する。」
F:「ロボットときたか。」
A:「多忙なマジシャンはその場を離れる。
   AはBがいない隙に、ロボットに細工(*1)をして自分が赤カードを引くようにする。戻ってきたBは、2枚のカードのどっちを引いても、毎回Aが勝つのを目の当たりにする。」
F:「Bは疑いの目でAを見る。」
A:「Bは、「Bが負けるように、未来のAが過去に干渉しているからだ。」と主張する。」
F:「さぁ、Aはどう対応する?」
A:「そこで、Aは遠隔操作でロボットを元の状態に戻して、Bが勝つ確率を0から1/2に戻し、Bの主張は間違っていると反論する。」
F:「要するに、君が言いたいことを、量子力学の場合に置き換えると、
  隠れた変数なんてものはないってこと?」
A:「そこまでは分からないよ。
   隠れた変数が仮にあったとしても、神様は、AとBがいじれないようにして、イカサマを禁じているってことさ。 だから、アインシュタインがいってたように、神様はサイコロを振らない。この場合、AとBは真空から振り出されるサイコロの出目をただ見るだけってことだよ。」

(*1)AがBよりほんの一瞬だけ先にカードをひけるようにした。