紙
G:「あんまり、キョロキョロしないでよ。」
A:「分かってるさ。」
G:「わたしが追われてる身だってことを忘れないで。そうじゃなくても目立つ格好なんだから。」
A:「初めて都会に出てきたみたいなもんだから。」
G:「この時代に書店はないから。データサービスセンタに侵入するしか方法がない。」
A:「君はハッキングもやるの?」
G:「無線チャンネルに侵入して、地図の画像データを入手する必要がある。」
A:「面倒だな。図書館を探して地図をコピーすればいいのに。」
G:「あのね、コピーするにはお金がいるのよ。それに電子図書館に紙の地図は置いてないわ。
画像データがスクリーンに表示されれば、あとは何とかなる。」
A:「なんとかって?」
G:「わたしの使ってるコンタクトレンズにはマイクロカメラが搭載されているから、それで画像データを記憶するのよ。」
A:「そんな裏技があったのか。もしかして君はアンドロイドのターミネータ?」
G:「百済ないことを言ってるヒマはないわ。すぐに情報入手に出かけないと。」
A:「でも、未来のことは覚えていないんでしょ?」
G:「君にはそうだけど、私にとってこの時代は過去なの。」
3人
A:「ここは?」
G:「高速増殖炉もんじゅがあった場所よ。」
A:「廃炉になったんだ。」
G:「冷却材のナトリウム漏れを起こしてからずっと停止して、その間もナトリウムが冷えないように電気を使ってたから費用が大分嵩んだようね。」
A:「3人よれば文殊の知恵が働かなかったわけだ。」
G:「その3人すら、なかなか集まらなかったってこと。」
A:「この場所に僕を連れて来たのは何のため?」
G:「君と私の未来のため。
そのうち、もう1人やってくるわ。」
(3分経過)
C:「やぁ、久しぶり。」
A;「このおじさんはいったい誰?」
G:「大病院の御曹司。」
A:「ホントに?」
G:「というより今は放射線医学と放射線遮蔽学のエキスパートよ。」
C:「君らに深入りしすぎたようだ。」
もんじゅ廃炉へ第1歩
廃炉の第1段階となる核燃料取り出しが開始。