ゲーム

A:「ちょっとした思考ゲームを考えたんだけど、興味ある?」
F:「思考実験なら知ってるけど、実際にやらないゲームでは、ちょっとね。」
A:「じゃ、マジックならどう?」
F:「少しは。」
A:「では、片面が赤か、または黒のカードがあって、裏面を見ただけじゃ分からないとする。」
F:「それで?」
A:「マジシャンは、黒カードの山と赤カードの山から、一枚ずつひいて、相手に分からないようにしてから、AとBに選ばせる。」
F:「Aは君のこと?」
A:「いや、AとBは誰でもいいんだ。
   AまたはBが黒カードをひく確率は1/2で、赤カードをひく確率は1/2。
   AとBの一方が黒カードを引けば、他方は赤カードとなる。これは、AとBが離れていて世界の両端にそれぞれいたとしても成り立つ。」
F:「AとBは、お互いに通信できないの?」
A:「それはできるけど、Aがカードをひいて赤か黒かを知ったことを、Bに知らせるには時間がかかるんだ。」
F:「光速通信はできるってことでしょ。」
A:「仮にAがBに光速通信で知らせたとしても、知らせが届くまでの間、Bは自分のひいたカードを裏返してみないことには、それが赤なのか黒なのか瞬時に知る術はない。」
F:「そりゃそうだ。」