測定

M:「君と私の距離がLだとする。私が時刻t1において位置測定装置Xで粒子Y1の位置x1を測ったとし、
  君は時刻t1において運動量測定装置Pで粒子Y2の運動量p2を測ったとしよう。
  もちろん、時計合わせは事前に行ってあるものとする。」
A:「あなたが僕に測定結果を光で送信すると、t2=t1+L/cの時刻で、x1(t1)の情報が得られるので、
   x2(t1)=x1(t1)−Lから、時刻t1での粒子Y2の位置が計算できる。」
M:「君が運動量p2の測定結果を光で送信すると、t2=t1+L/cの時刻で、p2(t1)の情報が得られるので、
   p1(t1)=−p2(t1)から、時刻t1での粒子Y1の運動量が計算できる。」
A:「要するに、お互いの測定結果から、それぞれの粒子の位置と運動量が分かる。
  僕はx2(t1)とp2(t1)から粒子Y2の物理的実在を知ることになります。」
M:「そこで、君が仮に、時刻t1において測定装置PとXで粒子Y2の運動量p2と位置x2を測ったとしよう。
  この場合、不確定性関係からx2(t1)とp2(t1)を同時に確定できない。
  一方、私は、時刻t1において位置測定装置Xで粒子Y1の位置x1を測っておるのだが、
  Δx1=Δx2だから、位置x1が確定しなくなる。」
A:「つまり、僕が欲張って粒子Y2の位置と運動量を同時に測ると、その影響は瞬時に貴方の測定にでるということですね。」
M:「そこでだ、君の測定による影響を遮断するか、または遅らせることのできる邪魔ものを介入させることができると仮定する。」
A:「邪魔ものの存在によって、あなたの測定に影響がないうちに、あなたが僕に測定結果を光で送信すれば、時刻t2でx1(t1)の情報が得られることになりますね。」
M:「つまり、君は時刻t1での粒子Y2の位置x2(t1)を知ることになる。しかし、測定結果はx2(t1)+Δx2だ。」
A:「測定結果が信用できないから、物理的実在は怪しくなる。」
M:「なんとかしてその邪魔ものを探し出すことができれば、EPR論文に理があるが、見つけた者は未だ誰もおらん。」
A:「距離Lがどんなに大きくても、装置PとXの同時測定の影響が瞬時に現れる訳ですから、
  アインシュタインらは、その気持ち悪さに耐えられなかったんでしょう。」