成長

A:「星の平均後退速度Vと距離xなんて、かなりバラツキが大きいのに、比例関係が出てくるなんて、よく思い付いたもんだ。 v(t)=h(t)・x(t)から何か導きだせないの?」
G:「星の質量をmとすると、運動量pはm・γ・vだから(1/γ=√(1−β^2))、
   固有時間τで微分すると、この式(*1)が出せるわ。」
A:「運動量pが時間によらず一定なら、dh/dτ=−γ・h^2だから、すぐに解ける(*2)。
   h0・tが1よりずっと大きい場合には、h=1/tが出るね。」
G:「(dp/dτ)/p=A(τ)の場合には、この式(*3)がでるわ。
   dh/dτ=γ・dh/dtだから、dh/dt=h・(A/γーh)
   h>0で、hがA/γより小さいと、dh/dt>0だから加速膨張ってこと。」
A:「hがA/γより大きい場合には、dh/dt<0だから減速膨張か。」
G:「Aが定数の場合、h(t)は有名なロジスティック関数で(*4)、人口統計なんかに使われる関数よ。
   宇宙の成長カープ。」
A:「h=A/γのときが臨界か。
   このまま宇宙がどんどん膨張していったら、夜中に空を見上げても、星なんか見られなくなってしまう。
  1年に1度しか逢えない牽牛(アルタイル)と織姫(ベガ)との長距離恋愛も、お互いに切ない気持ちになってしまう。」
G:「そんなことは心配ご無用。その前に太陽の寿命は尽きてるから。」
A:「まったくもう、すぐに現実へ引き戻そうとする。君はロマンてものが感じとれないのかな。」
G:「それなら、現実逃避論でも勉強すればいいでしょ。」

(*1)
 dp/dτ=m・γ・((dh/dτ)・x+h・(dx/dτ))
      =(p/h)・(dh/dτ+γ・h^2)       cf) dx/dτ=γ・dx/dt=γ・h・x

 ∴ (dp/dτ)/p=(dh/dτ+γ・h^2)/h

(*2)
  −∫(1/h^2)dh = ∫dt
  
  h0=h(0)として、 h(t)=h0/(1+h0・t)

(*3)
  dh/dτ=A・h−γ・h^2=h・(A−γ・h)

(*4)
  h(t)=(A/γ)/(1+((A/γ/h0)−1)・exp(ーA・t))