2周

C:「量子力学の場合、φに位相因子がかかってくるのを知ってるかな?」
A:「位相因子のことは以前に出てきたよ(*1)。」
C:「君のお好きなローレンツ変換の場合、光速一定の式は
  (X’μ)^2|φ’>=exp(iδ)(Xμ)^2|φ>で、
   |φ’>=exp(iδ)|φ>だよ。
A:「δ=0じゃないの?」
C:「Xμの2乗は実数だから、exp(iδ)=±1の2通り。δ=πでもいい。
  この場合、  |φ’>=(−1)|φ>から、(X’μ)^2|φ>=−(Xμ)^2|φ>となる。
  マイナス符号がつくから光速を超えるけど、波動関数では問題ない。」
A:「波動関数は並みの波じゃないから、位相速度は光速を超える。」
C:「でも、観測するときは、
  <φ’|(X’μ)^2|φ’>=(x’μ)^2<φ|φ>
  <φ|(Xμ)^2|φ>=(xμ)^2<φ|φ>で、マイナス符号は出てこない。」
A:「めでたく、(x’μ)^2=(xμ)^2となる。
  (−1)×(−1)=1は未だに謎めいた関係だ。
  1円の借金を1回踏み倒すと1円儲かるってことだけど。」
C:「量子状態が2周すると元に戻るのは、δ=πの場合、(exp(iδ))^2=1になるからさ。」

(*1)
 2013年3月25日