螺旋
A:「こんにちは。金貨の分析結果を教えてくれない?」
C:「君はこの件に首を突っ込まない方がいい。」
A:「贋金ってこと?」
C:「知ってるなら、尚更だ。
ところで君は今、何の計算をしてるのかな。」
A:「角運動量。」
C:「ちょっと、そのノート見せて。」
A:「どうぞ。」
C:「円運動の計算か。粒子が円を描きながら一定方向に移動すると、螺旋軌道になる(*1)。
角運動量K3を∂/∂θで表すには、ちょっとした計算が要るんだ(*2)。」
A:「∂/∂Xj=(∂θ/∂Xj)・(∂/∂θ) を使って、K3を求めるとこうなる(*3)。」
C:「結局、交換関係[K3,θ]=−iと、[K3,X3]=−aiがでる。
K3φ=kφ を解くと、」
A:「−i∂φ/∂θ=kφから、φ=φ0・exp(ikθ)だよ。」
C:「a=0として、θ=2πでφ(2π)=φ0に戻るとすると、exp(i2πk)=1から、k=0,±1,±2,・・・となる。
難しいコトバでいうと、軌道角運動量の量子化さ。」
A:「a≠0、θ=2πで、もとに戻らないとどうなの?」
C:「φ(2π)=−φ0なら、exp(i2πk)=−1から、k=±1/2,,±3/2,・・・となる。
h=2πとしてるから、最小単位は(h/2π)の半分だね。」
A:「一周しても状態がもとに戻らないなんて、変な感じ。」
(*1)
X1=Rcosθ
X2=Rsinθ
X3=aθ
(*2)
tanθ=X2/X1
∂θ/∂X1=−sinθ/R
∂θ/∂X2= cosθ/R
(*3)
K3=L12=(−i)(X1∂/∂X2−X2∂/∂X1)
=(−i)(X1・cosθ/R−(−X2・sinθ/R)(∂/∂θ)
=−i∂/∂θ