角速度

A:「気になってたんだけど、6元角運動量の「6元」って何のこと?」
G:「そうか、君はまだ1元数しか知らないんだ。」
A:「1元数?」
G:「X1I1+X1I2は2元数よ。I1=1とI2=iとして複素数Z=X1+iX2を使って、角速度の計算でもやってみる?」
A:「複素数は知ってるけど、角速度って何?」
G:「回転の速度のこと。
   X1はI1軸上での位置座標の演算子で、
   X2はI2軸上での位置座標の演算子。」
A:「I1軸とI2軸はどういう関係?」
G:「直交関係。
   Zの時間微分(dZ/dt)を|Z|で割ったのが角速度Ωよ。」
A:「|Z|は?」
G:「|Z|=√(X1^2+X2^2)、つまり、Zの大きさ。
とりあえず、|Z|=Rは一定にして、Z=Rexp(iθ)と書いて、Ωを求めるとこうなるわね(*1)。」
A:「(X1,X2)、(Ω1,Ω2)と書いても同じような気がする。」
G:「ベクトル的にはそうよ。
   Ωの共役Ω~(=Ω1−iΩ2)とZを掛け算するとこうなるわ(*2)。」
A:「I1軸の座標はゼロ。」
G:「(X1,X2)と(Ω1,Ω2)とのスカラ積(*3)を計算したのと同じでゼロになって直交してる。
 Re(Ω~・Z)=0で、 Re(Ω)はΩ1のこと。
   I1軸とI2軸に直交する軸をI3軸とすると、角速度Ω(Ω1,Ω2,0)は、I3軸回りに回転する速度を表すのよ。
  I1軸とI2軸を含む複素平面は、ガウス平面とも呼ばれてる。」
A:「ガウスって、エレキバンを発明した社長の先祖?」
G:「まさか。有名な数学者よ。」
A:「ガウスとは知り合い?」
G:「モチロン。」

(*1)
 Ω=Ω1+iΩ2
=(-sinθ+icosθ)(dθ/dt)
   =i(isinθ+cosθ)(dθ/dt)
   =|Ω|exp(i(θ+π/2))
   =(|Ω|/R)(Zexp(i(π/2))

 Ω1=−(X2/R)|Ω|
 Ω2=+(X1/R)|Ω|

(*2)
Ω~・Z=(|Ω|/R)R^2exp(-i(π/2))=−i|Ω|R

(*3)
 (X1,X2)・(Ω1,Ω2)=(−X1・X2+X2・X1)|Ω|/R