虎児

G:「これからニュートンのことを調べにいってくるわ。」
A:「いつ頃のニュートンに会うの?」
G:「彼じゃなくて、ウィリアム・チャロナーに会うのよ。」
A:「チャロナー?」
G:「贋金作りでニュートンに訴追された男よ。
   本人よりも、敵から情報を得る方がてっとり早いと思うの。」
A:「少し危険じゃない?」
G:「虎穴に入らずんば虎児を得ず。」
A:「虎児は贋情報ってことになるかも。」
G:「1698年6月にモルトくじに手を出した後のチャロナーから情報を入手してくるわ。」
A:「僕もいっしょに行きたいんだけど、来週月曜にテストがあるんだ。」
G:「君はもっと勉強した方がいいわ。」
A:「どうして?」
G:「ニュートンが書いたプリンキピアを読めるようになってもらわないと。」
A:「プリンキピアって英語で書いてあるんじゃないの。」
G:「もちろん。」
A:「この人形で何とかならない?」
G:「人形に翻訳までやらせるつもり?」
A:「時間がないから。」
G:「計算するヒマな時間はあるくせに。」
A:「それを言っちゃー、お仕舞よ。」