オイラー

A:「ちょっといつもの式ではないみたい。指数関数expにiθがあるとは。」
C:「exp(iθ)=cosθ+isinθだよ。オイラーの公式と呼んでる。」
A:「え! どうして?」
C:「exp(x)のマクローリン展開でx=iθとおいて実数部と虚数部に整理すれば判る(*1)。」
A:「もっと楽な方法はないの?」
C:「じゃ、 exp(λ(θ))とおいて、1回微分して、1回積分する方法はどう?(*2)」
A:「なんだか胡散臭い感じ。」
C:「君は双曲線関数cosh,sinhを知ってるかな?」
A:「よくお世話になってる関数だよ。」
C:「じゃ、こうするんだ(*3)。それぞれの二乗を計算してたすと、
   P^2+Q^2=1が出る。」
A:「ピンと来た。P=cosθで、Q=sinθとすればいい。」
C:「細かいことは抜きにして、前回やった式にこれ(*4)を使えば、回転行列R(θ)が得られる。」
A:「なるほど。ローレンツ変換に似てるけど違うみたい。」


(*1)
 exp(iθ)=Σ(iθ)^n/n!
       =Σ{(iθ)^(2・m) /(2・m)!+(iθ)^(2・m+1) /(2・m+1)!}
       =Σ{(−1)^m・θ^(2・m) /(2・m)!+i(−1)^m・θ^(2・m+1) /(2・m+1)!}

n=2・m, or 2・m+1

(*2)
exp(λ(θ))=cosθ+isinθ
 (d λ(θ)/dθ)・exp(λ(θ))=−sinθ+icosθ=i(cosθ+isinθ)
 d λ(θ)/dθ = i 
∴ λ(θ)=iθ+C (C=0 ∵λ(0)=0)

(*3)
 P=cosh(iθ) = (exp(iθ)+exp(−iθ))/2
 Q=-isinh (iθ) =-i(exp(iθ)−exp(−iθ))/2
 
(*4)
 P±iQ=exp(±iθ)  

 x'1=cosθ・x1−sinθ・x2
 x'2=sinθ・x1+cosθ・x2

 R(θ)=((cosθ,−sinθ),
        (sinθ, cosθ))