反交換関係
A:「ρ1は座標同士を交換する作用があって、
ρ3は座標の一方の符号を反転させる作用がある。
ρ2はこの2つの掛け合わせだから、両方の作用をもつ。
ローレンツ変換では座標を混ぜる必要があるから、ρ1かρ2が要るんだ。」
G:「ρ2は角運動量に関係あるのよ。」
A:「角運動量?」
G:「回転の運動量のこと。そのうち出てくるから。
前回やったように、ρjには関係(*1)があって、これを反交換関係の記号{}で書くと、
{ ρj , ρk }=0 (j≠k) となるわ。」
A:「パウリ行列でも同じで、
{ σj , σk }=0 だね。例えば、
{ ρ1, ρ2 }={ σ1, -iσ2 }=−i{σ1, σ2 }=0 となる。 」
G:「σj の2乗は単位行列Iだから、結局こう書けるわ(*2)。
δjkはクロネッカーのデルタ記号で、j=kのとき1、j≠kのときゼロ。」
A:「なるほど。カッコいい形に書けるものだ。」
G:「クロネッカーのこと、訊かないの?」
A:「自分で調べるさ。どうせ君の答えは、僕の知らない人ってことだから。」
G:「大分、分かって来たようね。
[]±の記号を使って、こう書くこともあるの(*3)。」
(*1)
ρ1ρ2+ρ2ρ1=0
ρ2ρ3+ρ3ρ2=0
ρ3ρ1+ρ1ρ3=0
(*2)
{σj , σk }=2Iδjk
(*3)
[σj , σk ]+ =σjσk+σkσj =2Iδjk
[σj , σk ]- =σjσk−σkσj=(2i)εjkl σl
εjkl (完全反対称テンソル)
ε123=+1を基準として添え字の偶数回の置換のときには+1、
奇数回の置換のときには−1、それ以外はゼロ。