パウリ

A:「今回は光速一定の原理について計算すると、
   僕の座標で、 x0^2−x1^2はこうなる(*1)。」
G:「私の座標では、ρ3を使って、こうなるわ(*2)。」
A:「ρ3? ρ2じゃないの?」
G:「ρ2はρ1とρ3を掛けて出せはいいのよ(*3)。
   ρ1=ρ2ρ3
   ρ2=ρ1ρ3
   ρ3=ρ1ρ2
   という関係があるの。
   ρ1^2=ρ3^2=Iで、ρ2^2=−Iよ。」
A:「そうすると、ローレンツ変換式はこう書ける(*4)。ρ3ρ1=−ρ1ρ3だから。」
G:「私の座標で(X')~tρ3(X’)を計算すると、こうなるわ(*5)。ρ3ρ2+ρ2ρ3=0を使って。」
A:「光速一定の原理は、
  (X')~t ρ3 (X’) = X~t ρ3 X ということか。」
G:「ρ1=σ1,ρ2=−i(σ2),ρ3=σ3とおくと、σjはパウリ行列と呼んでいるものよ。
   ρ2^2=−Iだけ違うのはカッコ悪いから、σ2^2=Iにしたのね。」
A:「パウリって誰?」
G:「もちろん、君の知らない人よ。」

(*1)
 x0^2−x1^2
 =(x0, x1)(x0,− x1)^t

(*2)
  (X')~tρ3(X’)  

ρ3=[(1,0)
(0,-1)]

(*3)
ρ2=ρ1ρ3
=[(0,-1)
(1,0)]

(*4)
ρ2X’=( (coshθ)ρ2−(sinhθ)ρ2ρ1 )X
ρ1ρ2X’=( (coshθ)ρ1ρ2+(sinhθ)ρ1ρ3 )X
  ρ3X’=( (coshθ)ρ3+(sinhθ)ρ2 )X

(*5)
  
 (X')~t ρ3 (X’) 
=(ρ3X')~tρ3(ρ3X’) 
=(( (coshθ)ρ3+(sinhθ)ρ2)X )~t ρ3(( (coshθ)ρ3+(sinhθ)ρ2)X
=X^t( (coshθ)ρ3−(sinhθ)ρ2)ρ3( (coshθ)ρ3+(sinhθ)ρ2)X
=X^t ρ3( (coshθ)ρ3+(sinhθ)ρ2)^2 X
=X^t ρ3( (coshθ)^2(ρ3)^2+(sinhθ)^2(ρ2)^2)X
=X~t ρ3 X