人形

A:「僕もたまには過去か未来に行ってみたいと思うことがあるよ。」
G:「だったら、この香水を使えばいいわ。箱の中に使用方法が書いてあるから読んどいて。」
A:「そんなことができるの?」
G:「それは私を信用してないってこと?」
A:「まぁ、そんなところ。」
G:「次に会う日は1972年11月5日13時、上野動物園にしましょう。いきなり遠い過去は無理そうね。君はまだタイムショックに慣れてないから。」
A:「僕、時計もってないんだ。彼に返したから。」
G:「仕方のないひとね。これ貸してあげるから。」
A:「何、この黒い人形?」
G:「ダッコちゃんよ。」
A:「こんなの持って歩くわけ?かんべんしてよ。」
G:「贅沢いわないで! この人形の目の中を覗き込むと時間が分かるから。それとこのボタンを押せば、自動通訳機能で古今東西の言葉にしてくれるわ。そのとき君は腹話術の人形のように口パクをしてればいいだけ。
  かなり高値で買ったんだから、失くさないでよ。」
A:「分かったよ。」
G:「それじゃ、またね。」