ゼロ

A:「さてと、今日は位置演算子Xをもう少しいじってみようと思うんだけど、どうかな?」
B:「お好きなように。」
A:「では、X=WX0W^から出発して、見やすい形にしてみよう。
   exp(iP0x)とX0の交換関係は、こうなる(*1)。」
B:「ここでは、[P0,X0]=−iを使ってるね。」
A:「X=(X0+x)exp(iP0x)・exp(−iP0x)
    = X0I+xI
   となる。I=exp(iP0x)・exp(−iP0x)=exp(0)で、X0I=X0(*2)   だから、
    X=X0+xI が出てくる。」
B:「XはX0をxだけずらす演算子ってことだね。」
A:「Xφ=(X0+xI)φ=(x0+x)φで、x0=x(t0)=0なら、
   Xφ=xφとなる。
   でも、だらかといってX0=0とはおけないんだよね、これが。」
B:「X0=0なら、ずっとX=W0W^=0のままになるから。」
A:「これって、どういうこと?」
B:「演算子X0は、例えば位置を測る物差しや装置みたいなものだと考えたらどう?
   これで測った値がx0と出る。」
A:「X0=X(t0)のことだから、0で何もないとすると、何も測れないことになるのか。」
B:「無からはゼロも生じない!」

(*1)
 [exp(iP0x),X0]=ixexp(iP0x)[P0,X0]

 exp(iP0x)X0=X0exp(iP0x)+xexp(iP0x)

(*2)
  X0 =exp(0)X0exp(0)
    =X0exp(0)・exp(0)
    =X0I