変換

A:「試行錯誤の末に分かったのは、ハイゼンベルク波動関数φに、exp(−i・H0・t)をかけるとシュレーディンガー波動関数Ψが出てくるってことなんだ。」
B:「変換に使った演算子はどうやって思い付いたの?」
A:「演算子E=H(t0)をexp(−iωt)のωに使えば、時間経過につれて位相が変化するからさ。変換演算子をWとして、時間演算子をTとする。
  T=WT0W^とH=WH0W^とおいて[T,H]と計算してみるとこうなる(*1)。 W^はWの逆変換の演算子でWW^=Iだよ。Iは1を掛ける演算子。」
B:「 T0=T(t0)、H0=H(t0)だから、
   [T0,H0]=−iから、[T,H]=−iが出る。
   時刻tが変っても交換関係は同じ。」
A:「演算子AをXとPの関数として、∂tA=0とした場合、ハイゼンベルク運動方程式にA=WA0W~とH=WH0W^を代入するとこうなる(*2)。」
B:「この2つの式が出てくる(*3)。
   W =exp(+iH0t)とおけば、最初の式を満たし、
   W^=exp(−iH0t)とおけば、2番目の式を満たすことが分かる。」
A:「結局、Ψ~=(φ~)Wと、Ψ=(W^)φの関係があれば、こういうことになるんだ(*4)。
  2つの式のうち、i・dΨ/dt=H0Ψで、Ψをxμの関数Ψ(xμ)としたものが  i∂tΨ=H0Ψ、つまりシュレーディンガー方程式なんだ。」
B:「Ψ~=(φ~)Wの変換と、Ψ=(W^)φの変換は表裏の関係にある。シュレーディンガー方程式は一対あるってことだね。」
A:「この2つの式から計算してみると(*5)、ΨΨ~がH0と交換するなら、ΨΨ~が時間によらずに一定になることが分る。
   君が言ったように、EΨ=H0Ψが最初から出せるんなら、こんな遠回りの計算は必要なかった訳だよ。」
B:「いゃ、同じじゃないさ。君は方程式が一対だってことを突き止めた訳だから。」

(*1)
 [T,H]=[WT0W^,WH0W^]
      = W[T0,H0]W^
(*2)
 i・dA/dt=[A,H]

  i・dA/dt=i・((dW/dt)・A0W^+WA0・(dW^/dt)

 [A,H]=(WA0)H0W^−(WH0)A0W^

(*3)
 i・dW/dt =−WH0
i・dW^/dt = H0W^

(*4)
 φ~(i・dW/dt) =−φ~WH0
 i・d(φ~W)/dt =−(φ~W)H0
 i・dΨ~/dt = −Ψ~H0

 (i・dW/dt)φ = H0Wφ
 i・d(Wφ)/dt = H0(Wφ)
 i・dΨ/dt = H0Ψ

(*5)
 i・(Ψ・dΨ~/dt+(dΨ/dt)Ψ~)
 =−(ΨΨ~)H0+H0(ΨΨ~)