夏の日

A:「今日は僕が少し量子力学について自由研究をしてきたから説明しようと思うんだけど。」
B:「この暑い日にそんなことを君が始めようとしてるってことは、熱帯夜の影響が脳に出て来たんじゃないの?」
A:「知恵熱と熱波のダブルパンチのせい、ってことじゃなくて、節電には汗をかくのが一番だから、脳の筋肉を使って計算すれば汗も出て来るかと思ってさ。」
B:「それで何か面白いものは見つかった?」
A:「本を何冊か借りてきて開いてみると、いきなりシュレーディンガー方程式なんてのが出て来たもんだから、夏の日なのに目の前が真っ暗になっちまった。」
B:「でも、君はもうシュレーディンガー方程式を知ってるじゃない。」
A:「え! いつそんなのが出て来たの?」
B:「演算子EとHはもう知ってるし、E=H(t0)とE=i・∂tも知ってるよね?」
A:「まぁ、それはそうだけど。」
B:「別に出し惜しみした訳じゃないけど、
   シュレーディンガー波動関数をΨと書けば、
   EΨ=H(t0)Ψ、つまりi・∂tΨ=H(t0)Ψが出る。
   これはシュレーディンガー方程式と呼ばれてる。」
A:「そんなのが?」
B:「この前やったH−mの式をH(t0)に使って、Pj=−i・∂xjと置けば、教科書によく載ってる複雑な形になる。
   シュレーディンガーの見方では、波動関数Ψが時間の関数で、演算子の方は時間によって変らないんだ。」
A:「それを最初に言ってくれると助かったんだけどね。」
B:「天下り式のやり方は好きじゃない。量子力学の本にこんなコワモテの式がいきなり出て来たんじゃ、トラウマになる人だっているさ。」
A:「最初から硬い肉を出されても、歯が立たないよ。」
B:「教える側に時間がないのか、それとも教えるのが面倒なのか分からないけど。
   君の解説は次回のお楽しみってことにしよう。」