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A:「ハミルトンは何をした人?」
B:「彼はニュートンの粒子力学を奇麗な形に纏め上げた人だよ。
   数学者だから、今日は数式のオンパレードだね。」
A:「難しい?」
B:「それはやってみないことには分からないよ。
   H(p,x)を運動量p(t)と位置x(t)の関数として、
   ハミルトンの方程式はこうだよ(*1)。
 ,t=d/dt
 ,p=∂/∂p
 ,x=∂/∂xとおいてる。
dは微分記号で、∂は偏微分記号だけど、今日は長ったらしいのは止めて君の好きなスタイルでいこう。」
A:「x,t=H,pの方は、前にもやってるから馴染みがある。」
B:「いつもと少し違って、
H=√((p・c)^2+(m・c^2)^2)+U(x)から始めよう。
U(x)はポテンシャル関数で力の元になる位置エネルギーを表す。」
A:「H,p =c^2・p/Hだから、群速度vgが出る。
   H,x =U,xとなるだけ。」
B:「p,t=−U,xは、運動量の時間変化が力によって決まることを表してるからニュートン運動方程式だ。この力はポテンシャル関数の位置変化に等しいので、場所が変れば力も変るってことさ。
  計算式を見易くするために、c=1とおくよ。
  H−mを計算するとこうなる(*2)。
  第1項の分母でpがmに比べてムシできるという条件付きなら、2・mになる。」
A:「H−m=(p)^2/(2・m)+U(x)
   これは運動エネルギーにU(x)を足したものだ。
   この場合、H,p =p/mだから、vgが直ぐ分かる。」
B:「Hの起点を定数分だけずらしても方程式は変らないんだ。ハミルトンの時代にはまだ相対論は出てきてないから、この式だった。
   A(p,x,t)をtで微分して、ハミルトンの方程式を使うとこうなる(*3)。
   A,tは∂A/∂tのことで、
  [A,H]pbの[ ]pbは、ポアッソン括弧と呼ばれている。」
A:「どこかで見たような形だ。」
B:「この[ ]pbを、量子力学の交換関係[ ]・(−i)に置き換えると、これまでサンザンやってきたハイゼンベルク運動方程式が出て来るというのがオチなんだ。」
A:「このオチはすこしマトモすぎない?」
B:「量子力学より100年も前にこんなのを考えた人がいたってことを君に知ってもらいたかったから。
 ほんとのオチは、君が落ちこぼれずにこれを理解できたかどうかということなんだ。」

(*1)
 p,t=−H,x
 x,t=H,p

(*2)
 H−m
= √(p^2+m^2)−m  +U(x)
=(√(p^2+m^2)−m)・(√(p^2+m^2)+m)/(√(p^2+m^2)+m)   +U(x)
= p^2/(√(p^2+m^2)+m) +U(x)

(*3)
  dA(p,x,t)/dt
  =A,t+(A,x)・(x,t)+(A,p)・(p,t)
  =A,t+(A,x)・(H,p)−(A,p)・(H,x)
  =A,t+[A,H]pb


(cf)
  dE'/dp'=((dE/dp)−V)/(1−(V/c^2)・(dE/dp))
        =(dE/dp)・(vg−V)/vg/(1−(V/c^2)・vg)
        =(dE/dp)・v’g/vg

  v’g/vg=(dE'/dp')/(dE/dp)
  vg=∂H(p,x)/∂p

  dE'/dx’=(dE/dx)・(1−V・(dp/dE))/(1−V・(dt/dx))
         =dE/dx=∂H(p,x)/∂x

  (dp’/dt’)/(dp/dt)
         = (dp’/dp)/(dt/dt’)
         = γ・(1−(V/c^2)・(dE/dp))/γ/(1−(V/c^2)・vg)
          = 1