壁の向こう側
A:「群速度vgが光速cよりも小さい場合、位相速度vpは光速cを超えることになるけど、問題ない?」
B:「粒子の速度で観測できるのは群速度vgで、これが光速cを超えないのは前にもやったよね。」
A:「E>p・cだから。要は、位相速度vp=E/pだから、光速cをとっくに超えて壁の向こう側にいる。」
B:「位相速度vpの合成式は、相対速度がVの場合(V>0)、こうだった(*1)。」
A:「n>1として、vp=n・cとおくと、こうなる(*2)。
(n・c+V)−(c+V・n)
=(n−1)・c−(n−1)・V
=(n−1)・(c−V)>0
ということは、c>Vのとき
(n・c+V)/(c+V・n)>1だから、vp’>cとなる。」
B:「c<Vのときには、vp'<cだよ。」
A:「もしも粒子に質量があるのに、E<p・cってことになると、群速度vgは光よりも速くなってしまう。」
B:「群速度vgは、沢山の波を重ね合わせて作られる波の束がカタマリになって移動するときの速度で、dω/dk=dE/dp=c^2・p/Eから出てくる。」
A:「何が何でも光速cを超えられないってわけではないのか。」
(*1)
vp’=E'/p'=(E+V・p)/(p+V・E/c^2)
=(vp+V)/(1+V・vp/c^2)
(*2)
vp’=(n・c+V)/(1+V・n/c)
= c・(n・c+V)/(c+V・n)