エーテル

A:「真空の屈折率を1と決めてるみたいだけど、光を伝える正体が何なのかピントこないんだ。」
B:「光を伝えるものを昔はエーテルと呼んでたらしいよ。」
A:「君がエーテルに乗って速さVで移動しているとして、君からみた光の速さをc/nとする。エーテル中では光の速さがcになる筈だから、僕からみると、c・(1+β)/(1+1・β)=cだよ。」
B:「エーテル中の光の速さは、βに関係なくどこから見てもcになることが分かる。」
A:「それって真空の場合と同じ。エーテルは真空の別名かな。」
B:「もし、エーテル中の屈折率がゼロだとすると、僕からみて超光速だよ。」
A:「僕からみると、エーテルの屈折率は、(0+β)/(1+0・β)=βだ。」
B:「βが1より小さいと、君からみればc/βは超光速。」
A:「βが1より大きいと、エーテル自体が光速の壁をとっくに超えてしまってるから、エーテルの速さは光速cってことにすれば。」
B:「β=1の場合、君からみれば光速cになる。」
A:「結局、エーテルの屈折率は1か、あるいは速さがcになる。」
B:「どっちにしても、エーテルが通常の物質であるとは考え難いようだ。」
A:「xとかy、zの座標は元々便宜上のものなんだから、物質の仲介なしで何かの作用が時空を伝わる場合の速さが光速cと同じってのが、光速一定の原理の真意じゃないかな。」
B:「その場合、光以外にも物質の介在なしで伝わる作用があるなら、同じ時空に適用できるってこと?」
A:「この星に働いてる引力だって、真空を伝わってくるみたいだから。」
B:「作用ごとにいちいちエーテルみたいなものを仮定するは場当たり的な感じがするから、物質のないところでも光の遊び場があると認める方が自然な気がするよ。」