過去へ

A:「今年も残すところ一日だね。」
B:「光陰矢の如し。」
A:「僕の時間を過去に戻すには、どうすればいい?」
B:「君の時間と僕の時間を結び付けている係数γは、√(1−β^2)の逆数だから、これがマイナスの値になればいいけど・・・。」
A:「速さVの銀河鉄道車両の中で君が同じ場所にいるとして、その時計で計った時間に係数γを掛ければ、僕の時計で計った時間になる。この際、光速cを超えてみたら?」
B:「係数γの分母が、i×√(β^2−1)となって、虚数が出てくるんだよ。」
A:「それを無視して、どんどんβを大きくしていくと、係数はゼロに近づいていくだけだ。」
B:「君は過去に戻っていったい何をしたいの?」
A:「自分の過去を変えられたら、万事は絶好調さ!」
B:「過去は変えられないから価値があると思うんだけど。
   消しゴムで何回も消してたら、君自身が磨り減ってくるんじゃない?」