世界線

A:「僕の人生を1本の線で表すと、生まれたときから始まって、ずっと延びてゆくね。」
B:「君の線をx(t)で表して、僕のをx’(t)とすると、
  君と僕がぶつかったとき、「x(t)=x’(t)」になって
  2本の線が1点でまわじわることになる。」
A:「そのxなんとかと、括弧の中のtは何?」
B:「xは位置で、tは時間としている。
   xは未知を意味してて、tの時刻が決まらないと、何も決まらない。」
A:「僕の場合、彼女と先週ケンカ別れしたから、
   彼女の線と僕の線は平行線のままだよ。」
B:「何らかの作用が働かない限り、2本の線が近寄ってくる可能性は低いと思うよ。」
A:「ところで、ある場所から出た光の線はどうなるの?」
B:「光の束は、その場所を頂点とする円錐を描くことになる。
   光速を超えない限り、君がその場所から光と一緒にスタートしても、光の円錐から外にはみ出すことはない。」
A:「首にコーンをつけた犬みたいだな。」
B:「コーンの外側は見えないという意味では、それに近いかも。」
A:「僕の想いが、そのコーンからしみ出して彼女の心に届けられるといいんだけど。」
B:「そうなることを祈るよ。」