ブラックホール

M:「久しぶりだな、君に会うのは。 
   愛酒タインは元気にしておるかね?」
A:「ええ。」
M:「ワシも歳をとったせいで、君の名前を思い出せん。」
A:「知らない方がいいですよ。
   ところで、今は何をやっているんですか?」
M:「よくぞ、訊いてくれた。
   ミニチュアのブラックホールを生み出す装置を設計したんだ。」
A:「ブラックホール?」
M:「君が知っとるか知らんかは知らんが、原子核には陽子と中性子があって、さらにその中には謎のモノが入っておるのだ。」
A:「クォークのことでしょ。」
M:「そんな名前をつけて知ったかぶりをしている連中もいるが。それで理解したことにはならん。」
A:「クォークを単体で取り出した人はいないと聞いてますが。」
M:「その名前は止めて、君に分かりやすく説明すると、陽子や中性子には、
   ヘビとカエルとナメクジが1匹ずつ入っておるのだ。」
A:「まさか。」
M:「異論はあろうが、まぁ聞きタマエ。
   ヘビとカエルとナメクジは、隙あらば外に飛び出そうと狙っておるんじゃが、お互いに目を光らせているので、そう簡単にはいかん。」
A:「その3匹を閉じ込めているのは、何ですか?」
M:「それは、距離が遠くなるほど大きくなる力で、これを利用して時空に風穴を空けようってワケじゃよ。」