テンソル

A:「6元角運動量Lの成分は6個あって、15通りの交換関係を計算してるんだけど、まだ1つしかやってない。」
G:「角運動量Lμνはベクトルではなく、反対称テンソルよ。」
A:「反対称テンソル?」
G:「反対称というのは、μとνを入れ替えると符号が変わるってこと。」
A:「μとνが同じだと成分はゼロ。残り12個の半分は符号が違うだけ。」
G:「でも4成分のベクトルのような訳にはいかないでしょ。」
A:「基本成分が2個多いだけなのに、ややこしい。」
G:「回数稼ぎのために、残り14個をこれから毎回やるつもり?」
A:「ノー。そんなヒマないって君が言うのは分かってるつもりさ。」
G:「それじゃ、どうするの?」
A:「公式でも探すかな。」
G:「自分で見つければいいわ。」
A:「どうやって?」
G:「演算子LとXとの交換関係[L,X]、
   演算子LとPとの交換関係[L,P]は分かる?」
A:「[L,X]はこう(*1)で、[L,P]はこうだよ(*2)。」
G:「よくできました。ここからは単なる数学だけど、
   [L,XjPk]
 =[L,Xj]Pk+Xj[L,Pk] 
  を計算する(*3)。
  jとkを入れ替えれば、
   [L,XkPj] はすぐに出るわ。
 これらを引き算すれば、L=Labとおいて、
  [Lab,Ljk]が求まるってことね。後は任せるわ。」
A:「手を使った単純労働か。」

(*1)
 [L,X]=−i∂L/∂P

(*2)
 [L,P]=+i∂L/∂X

(*3)
  [L,XjPk]=−i(∂L/∂Pj)Pk+Xj(i∂L/∂Xk)