中学生

A:「せっかくケット|x>とブラ<x|を使って計算してるのに、パウリ行列σj の計算でベクトルに戻すのが、いまいち垢抜けない感じなんだよな。
 もっと量子力学っぽく計算できないかな。
 |x>を列ベクトル(x0,x1)~に置き換えないのなら、単位列ベクトル(1,0)~と(0,1)~を使ってこうおいてみるか(*1)。 Xμは演算子で、Xμ|Ψ>=xμ|Ψ>とする。
 <u|u>=<d|d>=1と、
 <u|d>=<d|u>=0 は直ぐに判る。

 お次は、σjを|u>と|d>に作用させるとどうなるかを、地道に調べる(*2)。
 σ1とσ2は、|u>を|d>に変え、|d>を|u>に変えるけど、σ3は|d>の符号を変えるだけだ。
 <x|σ2|x>の計算はこうで(*3)、
 <x|σ3|x>の計算はこうだ(*4)。
 ついでに、<x|σ1|x>も計算しとくか(*5)。 
 <u|u>と<d|d>になる組み合わせ以外は計算しなくていいんだから楽だな。」
 
S:「何をブツブツ言ってるのかな?」
A:「また、勝手に部屋に入ってくる!」
S:「何か隠し事でもしてるのかと思って。」
A:「自習してるんだよ。」
S:「ほんとに?」
A:「未来の中学生からコケにされないためさ。」

(*1)
|u>=(1,0)~ |Ψ>  |d>=(0,1)~ |Ψ> (~:転置)
 <u|=<Ψ| (1,0)   <d| =<Ψ| (0,1)

 |x>=X|Ψ>=X0|u>+X1|d>=x0|u>+x1|d>

<x|=<Ψ|X=<u|X0+<d|X1=<u|x0+<d|x1

(*2)
  σ1|u>=|d>
  σ1|d>=|u>

  σ2|u>=-i|d>
  σ2|d>= i|u>

  σ3|u>=|u>
  σ3|d>=−|d>

(*3)
  <x|σ2|x>
=(<u|x0+<d|x1)(x0(−i)|d>+(x1)i|u>)
=i(x0x1<u|u>−x1x0<d|d>)

(*4)
  <x|σ3|x>
=(<u|x0+<d|x1)(x0|u>+(x1)(−1)|d>)
= x0x0<u|u>−x1x1<d|d>

(*5)
  <x|σ1|x>
=(<u|x0+<d|x1)(x0|d>+x1|u>)
= x0x1<u|u>+x0x1<d|d>