無駄足

A:「どこかで計算違いをしたのかな?」
B:「計算は合ってると思うよ。」
A:「じゃ、どうして?」
B:「計算結果が常に真実って訳じゃないさ。」
   例えば、e0をx0軸の方向ベクトルとして、
   e1,e2,e3のどれにも直交するとしよう。この場合、どうなる?」
A:「この前計算した、
   x'0・e0 =cosh(θ)・(x0・e0)+sinh(θ)・(xj・ej)
   にe0を掛けてみると、
   x'0 =cosh(θ)・x0となって、sinh(θ)の項が消えてなくなる。」
B:「e0・ej=0だから、x0とxjが混じり合うことはないね。」
A:「なるほど。
   xjにx0を追加して4次元の直交軸を考えれば、うまくいくってことでもないのか。」
B:「数学者はアタマん中だけで話をまとめていこうとするけど、
   自然の姿はそんなものとは本来無縁だってこと。」
A:「だいぶ無駄足をしたような気がする。」
B:「そうでもないさ。君が費やした時間は後できっと役に立つから。
   それに駄目だってことが判ったんだから、1歩前進と考えればいい。」