膨張

A:「ここから見える星の速さvは、遠いほど大きくなるらしいよ。」
   僕から見た星までの距離をxとして、比例係数をHとすると、v=H・xとなる。
   宇宙に時間が誕生したときから現在までの時間をtとして、H・t=1とすると、君の座標では、v’=H’・x’となるんだ。」
B:「僕は、その星と同じ方向に走る速さVの銀河鉄道の車両中にいることになってるから、比例係数H’は時間の逆数のローレンツ変換式(*1)から求まるね。」
A:「H’にx’の式をかけて、速度合成式(*2)を使って整理すると、v’が出てくる。」
B:「ハッブルの法則と呼ばれているよ。」
A:「このまま宇宙が膨張を続けていくと、君は生まれた星にいる誰かと連絡がとりにくくなるね。」
B:「その心配はないんだよ。」
A:「どうして?」
B:「そこにはもう誰れも住んでいないからさ。」

(*1)H’=H・√(1−β^2)/(1−(v/c)・β)
(*2)v’=(v−V)/(1−(v/c)・β)