正体
A:「今日はβが何かをつきとめる日だ。」
B:「変換式を覚えてる?」
A:「忘れた。」
B:「そう思って、ここに用意してあるよ(*1)」
A:「さっそく、使ってみよう。」
B:「君が一定の速さvで走っているとする。」
A:「x=v・tだ。」
B:「これを変換式に入れてまとめると、僕からみたときの速さx'/t’が求まる(*2)。
君が止まっているなら、v=0だから、x'/t’=β・cとなる。僕の乗っている銀河鉄道の車両は速さVで動いているから、君はVで遠ざかっていて、符号はマイナスだ。」
A:「β・c=−Vから、β=−V/cとなって、メデタシ、メデタシ。」
B:「僕が逆方向に速さVで走っていれば、符号はプラスになるから、β=V/cとなるよ。」
A:「結局、変換係数は、
T11=T22= 1/√(1−(V/c)^2)
T12= ±V/√(1−(V/c)^2)
T21=±(V/c^2)/√(1−(V/c)^2)となりました。」
B:「よく本に出てる形でローレンツ変換と呼んでるけど、x方向へのローレンツブーストとかいっている。Vが光速cよりずっと小さいときには、√内が1になるよ。」
A:「変換係数は、
T11=T22=1
T12= ±V
T21=±(V/c^2)となって、ガリレイ変換モドキになるのか。」
B:「T21を0とみなして、ガリレイ変換式が出てくるって訳さ。」
A:「一件、落着。βの正体は意外に簡単なものだったね。」
B:「お疲れ様。でも、これでお仕舞いではないよ。βにはまだ続きの話があるから。」
(*1)
∴ x’=(1/√(1−β^2))・(x+(β・c)・t)
t’=(1/√(1−β^2))・((β/c)・x+t)
(*2)
x'/t’=(v+(β・c))/((β/c)・v+1)