中毒

A:「あなたは20年以上に亘って錬金術にのめり込んでいるようですが。」
N:「錬金術? 耳慣れない言葉だ。」
A:「水銀から貴金属を生成する技術のことですよ。」
N:「なぜ君はそれを知ってるのだ?」
A:「あなたのことは調査済みですから。
   あなたほどの計算力があれば、水銀に硫黄を混ぜたくらいで黄金に変えられないことは分かっていると思いますが。」
N:「わたしは神が創造された、この世界における謎の一端を解いているに過ぎない。それは、神がわたしに御命じになったことだ。」
A:「1つ忠告しておきますが、あなたがこのまま実験を続けたとしたら、間違いなく水銀中毒におかされるでしょう。なぜなら、あなたは助手もなしで、すべての作業を自分ひとりでこなしているからです。」
N:「どうして、そのようなことが君にわかる?」
A:「分析によると、あなたの毛髪から水銀が検出されているからです。」
N:「やはり・・・。
   君の忠告は今後のわたしに影響を及ぼすことになるだろう。」