理論

A:「僕はポアンカレに会ってくるから、君はアインシュタインの方を頼むよ。」
G:「分かったわ。それじゃ、また後で。」
(時間経過)

G:「ポアンカレに会えた?」
A:「会えたというよりも、遠くから見えただけ。」
G:「しょうが無いわね。わたしはちゃんとアインシュタインから話を聞けたわ。彼は未だ無名だから。」
A:「なんだ、そうなら僕が会いにいったのに。
  それで何か分かったの?」
G:「彼がもし、ポアンカレの理論にひきずられてたら、ローレンツ変換式が見かけの変化だってことを見抜けなかっただろうってこと。彼が光速一定の原理を必要としたのは、ローレンツ変換式をただ導くためではなくて、光を使って時刻や長さといった物理量を明確に定義するためよ。」 
A:「ポアンカレは、アインシュタインの洞察を通じて相対性理論の内容を再発見したのかも知れない。
   アインシュタインは数学者じゃないから、数式には名前をあまり残していない。彼が何をやったのかを説明するのはそう簡単なことではないね。」
G:「後の時代になって、ラディックという人は、アインシュタインポアンカレの理論を横取りしたと主張したくらいだから。」
A:「僕はそうは思わないけれど、彼の理論が間違ってると主張する人は後を絶たない。
   ところで、アインシュタインってどんな感じの人?」
G:「そうね、私が知ってるアインシュタインとは少し違ってたわね。」
A:「え、どういうこと?」
G:「本人は未だ知らないけど、有名になった後、彼は私の家庭教師をしてくれたことがあったのよ。」
A:「まったく、君という人は!」
G:「何?」
A:「タイシタモンダ。」